中国語の看、听、说は、日本語の「見る」「聞く」「話す」と一語ずつ対応させるだけでは使いこなせません。とくに看は、目的語によって日本語では「読む」と訳されることがあります。
この記事では、動詞と目的語の自然な組み合わせ→話せる能力→見聞きして理解できた結果の順で整理します。
先に「動作・能力・理解結果」の3層を診断する
表現を選ぶ前に、いま伝えたい焦点を3層に分けます。
| 層 | 焦点 | 基本形 |
|---|---|---|
| A. 動作 | いま見る・聞く・話す行為 | 看 / 听 / 说 |
| B. 身につけた能力 | 学習や経験によって話せる | 会说など |
| C. 理解結果 | 見聞きした内容を理解できたか | 看懂 / 听懂 |
これは看→看懂→会と進むレベル順ではありません。動作をした事実、能力の有無、入力後の理解結果は、それぞれ別の質問への答えです。
看は目的語によって「見る」「読む」が変わる
看の中心は、目を向けて内容を受け取ることです。
看
見る
| 組み合わせ | 日本語での自然な訳 |
|---|---|
| 看书 | 本を読む |
| 看报纸 | 新聞を読む |
| 看电影 | 映画を見る |
| 看电视 | テレビを見る |
日本語の「読む」から別の中国語動詞を探すのではなく、看书という組み合わせで覚えます。看朋友なら文脈によって「友達に会いに行く/友達の様子を見る」となり、目的語だけでなく状況も必要です。
听は音のある目的語と組み合わせる
听は耳で音を受け取る動作です。
听
聞く
听音乐(音楽を聞く)听广播(ラジオを聞く)听老师说(先生が話すのを聞く)听课(授業を聞く/受ける)
听老师だけでは、先生の話を聞くのか、先生の言うことに従うのかが文脈に依存します。発言内容を明確にするときは听老师说のように動作を続けます。
说は言語・言葉・発言内容を目的語にする
说は、言葉を発する、話す、言うという働きです。
说
話す
说中文(中国語を話す)说一句话(一言話す)他说他明天来。(彼は明日来ると言いました)
日本語では「中国語ができる」と言いますが、話す能力を示すなら会说中文を使います。単に今中国語で話しているなら说中文で、学習して身に付けた能力を伝えるときに会を加えます。
我会一点中文。
私は少し中国語ができます。
会说は「話す能力がある」を示す
会+動詞は、学習や経験によって身に付けた能力を表します。
我会说一点中文。(私は少し中国語を話せます)你会说日语吗?(日本語を話せますか)
我说中文。なら「私は中国語で話します/話しています」という動作です。我会说中文。なら「中国語を話す能力があります」です。今している動作と、できる能力を分けます。
授業で能力や分からないことを伝える流れは、中国語の学校・勉強フレーズで確認できます。
同じ中国語動画を3方向から説明する
一つの中国語動画を使っても、焦点によって表現が変わります。
我在看中文视频。— いま動画を見る動作をしている我看懂了这个视频。— 見た結果、動画の内容を理解できた我会说一点中文。— 動画を見ている瞬間ではなく、中国語を話せる能力がある
同じ学習場面でも、「何をしているか」「理解できたか」「話せるか」を混ぜずに答えます。
看懂・听懂は「理解できた結果」まで含む
看と听は、目や耳で受け取る動作だけを表します。懂を加えた看懂、听懂は、その結果として内容を理解できたことを示します。
| 形 | 焦点 | 例 |
|---|---|---|
| 看 | 見る・読む動作 | 我看了说明。 |
| 看懂 | 読んで理解できる | 我看懂了说明。 |
| 听 | 聞く動作 | 我听了老师的说明。 |
| 听懂 | 聞いて理解できる | 我听懂了老师的说明。 |
少し聞き取れることを伝える音声例です。
我听得懂一点。
私は少し聞き取れます。
我听了,但是没听懂。(聞きましたが、理解できませんでした)のように、動作は行っても理解結果が成立しない場合があります。
「どこで止まった?」4つの困り方を診断する
Stop 1: 音は聞こえたが、意味を取れなかった
焦点:听懂です。听という動作は成立していますが、理解結果が成立していないので我没听懂。とします。
Stop 2: 字は見たが、説明の内容を理解できなかった
焦点:看懂です。目を向けた動作ではなく、読んだ結果が問題なので我没看懂。とします。
Stop 3: 相手の意味は分かるが、中国語で返せない
焦点:会说です。入力理解ではなく、話す能力について我不太会说中文。のように伝えます。
Stop 4: 単に、いまその動画を見ている
焦点:看という動作です。理解できたかはまだ述べず、我在看这个视频。とします。
知道・懂とは得た情報の種類が違う
听懂は聞いた内容を理解できた結果、看懂は見たり読んだりした内容を理解できた結果です。一方、知道は情報を知っていること、懂は内容や仕組みを理解していることに焦点を置きます。
我听懂了。(聞いて理解できました)我知道这件事。(このことを知っています)我懂你的意思。(あなたの言いたいことが分かります)
境界を詳しく比較する場合は、中国語の知道・明白・懂の違いを参照してください。
趣味では動詞と目的語を一組で使う
相手: 你平时喜欢做什么?
Nǐ píng shí xǐ huan zuò shén me?
普段は何をするのが好きですか。あなた: 我喜欢看电影,也喜欢听音乐。
Wǒ xǐ huan kàn diàn yǐng, yě xǐ huan tīng yīn yuè.
映画を見るのが好きで、音楽を聞くのも好きです。
趣味名の大量一覧はここでは扱いません。趣味を答え、頻度や共通点へつなげる場合は、中国語の趣味フレーズを利用してください。
誤学習を3件だけ修正する
- 看はいつも「見る」 — 目的語が本や新聞なら、日本語では「読む」が自然です。中国語では
看书の組み合わせで考えます。 - 听了なら「理解した」 —
听了は聞く動作をしたことです。理解結果まで言うなら听懂了を使います。 - 会说は「今話している」 —
会说は身につけた能力です。現在の発話動作そのものは说を中心に表します。
まとめ:動詞単独ではなく目的語と結果を見る
看、听、说は、日本語訳だけでなく、看书、听音乐、说中文のように目的語との組み合わせで覚えます。
会说は話す能力、看懂 / 听懂は見聞きして理解できた結果です。動作、能力、理解結果を分けると、似た日本語訳に迷いにくくなります。