日本語の「ある」「いる」「〜である」を中国語にするとき、訳語だけを見て有、在、是を選ぶことはできません。中国語では、存在を知らせるのか、特定の対象の場所を示すのか、何者かを説明するのかで動詞が変わります。

この記事は在の用法を網羅する記事ではありません。同じ状況をどの焦点で伝えるかを比べ、有 / 在 / 是から選ぶための記事です。

文を作る前に情報焦点を3つの質問で決める

日本語を中国語へ置き換える前に、聞き手へ新しく渡す情報を確認します。

  1. **「何がある?」**を新しく出すのか → 有
  2. **「その人・物はどこ?」**に答えるのか → 在
  3. **「それは何者・何?」**に答えるのか → 是

同じ教室、人、物を見ていても、質問が変われば文の中心も変わります。以下の各節では、語そのものより「どの質問への答えか」を先に見てください。

日本語の「ある・いる」だけで選ばない

まず3語の役割を大きく分けます。

伝えたい焦点選ぶ語基本例
何かが存在する/何かを持つ有教室里有学生。/我有一本书。
特定の人・物がどこにいる/ある在学生在教室里。/书在桌子上。
人・物が何者/何なのか是他是学生。/这是我的书。

日本語ではどれも「いる」「ある」「です」と訳せますが、話し手が新しい存在を出すのか、すでに分かっている対象の位置を述べるのか、種類や身分を示すのかが異なります。

有は「存在する」と「持っている」に焦点を置く

有は、ある場所に何かが存在することを初めて知らせるときに使います。

教室里有一个学生。
Jiào shì lǐ yǒu yí ge xué sheng.
教室に学生が一人います。

場所を先に置き、その場所に何があるかを出しています。存在するものは、聞き手にとってまだ特定されていないことが多いです。

有には所有の意味もあります。

有

yǒu

ある / 持っている

我有一本书。は「私は本を一冊持っています」、我有时间。は「私は時間があります」です。存在と所有は文脈で分かれますが、どちらも「あること」を提示する点が共通しています。

在は「その人・物がどこにいるか」に焦点を置く

対象がすでに分かっていて、その位置を答えるときは在を使います。

那个学生在教室里。
Nà ge xué sheng zài jiào shì lǐ.
その学生は教室にいます。

那个学生が話題になっていて、知りたい情報は居場所です。同じように书在桌子上。なら、特定の本が机の上にあることを伝えます。

在には進行を表す使い方もありますが、ここでは位置を示す働きだけを比較します。場所、進行、否定、疑問文などを詳しく学ぶ場合は、中国語の「在」の使い方を参照してください。

是は「何者・何なのか」を同定する

是は存在や位置ではなく、主語が何者か、何なのかを説明します。

是

shì

はい / です

他是学生。は「彼は学生です」、这是我的书。は「これは私の本です」です。どこにいるかではなく、身分・種類・所属を結び付けています。

「彼が教室にいます」と言いたいのに他是教室とは言えません。教室は彼の身分ではなく場所なので、他在教室里。を使います。

同じ教室の場面を最小対立で比べる

次の3文は、同じ学生と教室を扱っていても、相手へ渡す新しい情報が違います。

  1. 教室に何がある? → 教室里有一个学生。 — 教室に誰かが存在する
  2. その人はどこ? → 那个学生在教室里。 — その学生の居場所は教室だ
  3. その人は何者? → 他是学生。 — 彼の身分は学生だ

有の文では「一个学生」が新しく登場します。在の文では「那个学生」がすでに特定されています。是の文では場所を離れ、人物の分類を説明しています。

物についても焦点は同じ

  • 桌子上有一本书。(机の上に本が一冊あります)
  • 那本书在桌子上。(その本は机の上にあります)
  • 这是我的书。(これは私の本です)

日本語訳では最初の二つがどちらも「本が机の上にある」ように見えますが、新しく存在を知らせるか、特定の本の場所を答えるかで選択が変わります。

否定も「何を否定するか」で変わる

3語の否定形は同じではありません。

否定する内容形例
存在・所有がない没有教室里没有人。
その場所にいない不在他不在教室里。
何者かではない不是他不是学生。

有を否定するときは通常没有を使い、不有とはしません。不在は居場所、不是は同定を否定します。

否定対象を見て3文を直す

  • 教室に人が存在しない → 教室里没有人。
  • 話題の人が教室という場所にいない → 他不在教室里。
  • その人の身分が学生ではない → 他不是学生。

日本語の「いない」「ではない」だけで形を選ばず、存在・位置・身分のどれを打ち消すかを先に決めます。

日本語から直訳せず4場面を判定する

状況を読んで、何を新情報として求められているかを判定してください。

Scene 1: 初めて入った部屋を見て「人がいる」と知らせる

選択:有です。場所を先に示し、まだ特定されていない人の存在を新しく出します。

Scene 2: すでに話題の田中さんがどこにいるか答える

選択:在です。対象は特定済みで、聞き手が必要としている新情報は居場所です。

Scene 3: 初対面の人について職業を答える

選択:是です。存在や場所ではなく、その人が何者かを同定します。

Scene 4: 自分が中国語の本を持っていると答える

選択:有です。この場合は場所の存在ではなく、所有しているものを提示します。

位置を説明するための上、下、里、旁边などは、中国語の方向・位置表現で確認できます。この記事では場所語彙を増やすより、3語の焦点差を判断できることを優先してください。

まとめ:存在・位置・同定を見分ける

有は存在や所有、在は特定対象の位置、是は何者かの同定に使います。同じ場面でも、相手に何を新しく伝えるかによって語が変わります。

日本語の「ある・いる」から逆算せず、「存在か」「場所か」「何者か」を先に決めると選びやすくなります。