日本語の「ある」「いる」「〜である」を中国語にするとき、訳語だけを見てを選ぶことはできません。中国語では、存在を知らせるのか、特定の対象の場所を示すのか、何者かを説明するのかで動詞が変わります。

この記事はの用法を網羅する記事ではありません。同じ状況をどの焦点で伝えるかを比べ、有 / 在 / 是から選ぶための記事です。

日本語の「ある・いる」だけで選ばない

まず3語の役割を大きく分けます。

伝えたい焦点選ぶ語基本例
何かが存在する/何かを持つ教室里有学生。/我有一本书。
特定の人・物がどこにいる/ある学生在教室里。/书在桌子上。
人・物が何者/何なのか他是学生。/这是我的书。

日本語ではどれも「いる」「ある」「です」と訳せますが、話し手が新しい存在を出すのか、すでに分かっている対象の位置を述べるのか、種類や身分を示すのかが異なります。

有は「存在する」と「持っている」に焦点を置く

は、ある場所に何かが存在することを初めて知らせるときに使います。

教室里有一个学生。
Jiào shì lǐ yǒu yí ge xué sheng.
教室に学生が一人います。

場所を先に置き、その場所に何があるかを出しています。存在するものは、聞き手にとってまだ特定されていないことが多いです。

には所有の意味もあります。

yǒu

ある / 持っている

我有一本书。は「私は本を一冊持っています」、我有时间。は「私は時間があります」です。存在と所有は文脈で分かれますが、どちらも「あること」を提示する点が共通しています。

在は「その人・物がどこにいるか」に焦点を置く

対象がすでに分かっていて、その位置を答えるときはを使います。

那个学生在教室里。
Nà ge xué sheng zài jiào shì lǐ.
その学生は教室にいます。

那个学生が話題になっていて、知りたい情報は居場所です。同じように书在桌子上。なら、特定の本が机の上にあることを伝えます。

には進行を表す使い方もありますが、ここでは位置を示す働きだけを比較します。場所、進行、否定、疑問文などを詳しく学ぶ場合は、中国語の「在」の使い方を参照してください。

是は「何者・何なのか」を同定する

は存在や位置ではなく、主語が何者か、何なのかを説明します。

shì

はい / です

他是学生。は「彼は学生です」、这是我的书。は「これは私の本です」です。どこにいるかではなく、身分・種類・所属を結び付けています。

「彼が教室にいます」と言いたいのに他是教室とは言えません。教室は彼の身分ではなく場所なので、他在教室里。を使います。

同じ教室の場面を最小対立で比べる

次の3文は、同じ学生と教室を扱っていても、相手へ渡す新しい情報が違います。

  1. 教室里有一个学生。 — 教室に誰かが存在する
  2. 那个学生在教室里。 — その学生の居場所は教室だ
  3. 他是学生。 — 彼の身分は学生だ

の文では「一个学生」が新しく登場します。の文では「那个学生」がすでに特定されています。の文では場所を離れ、人物の分類を説明しています。

物についても焦点は同じ

  • 桌子上有一本书。(机の上に本が一冊あります)
  • 那本书在桌子上。(その本は机の上にあります)
  • 这是我的书。(これは私の本です)

日本語訳では最初の二つがどちらも「本が机の上にある」ように見えますが、新しく存在を知らせるか、特定の本の場所を答えるかで選択が変わります。

否定も「何を否定するか」で変わる

3語の否定形は同じではありません。

否定する内容
存在・所有がない没有教室里没有人。
その場所にいない不在他不在教室里。
何者かではない不是他不是学生。

を否定するときは通常没有を使い、不有とはしません。不在は居場所、不是は同定を否定します。

迷ったときは質問を三つに分ける

文を作る前に、次の順で焦点を確認します。

  1. 「存在する」「持っている」を新しく伝えるか →
  2. 特定の人・物の「どこ」を伝えるか →
  3. 人・物が「何者・何なのか」を伝えるか →

位置を説明するための上、下、里、旁边などは、中国語の方向・位置表現で確認できます。この記事では場所語彙を増やすより、3語の焦点差を判断できることを優先してください。

まとめ:存在・位置・同定を見分ける

は存在や所有、は特定対象の位置、は何者かの同定に使います。同じ場面でも、相手に何を新しく伝えるかによって語が変わります。

日本語の「ある・いる」から逆算せず、「存在か」「場所か」「何者か」を先に決めると選びやすくなります。