去、来、回を日本語の「行く・来る・帰る」だけで対応させると、会話の視点が変わったときに迷います。中国語では、基準となる場所から離れるのか、そこへ近づくのか、元の場所へ戻るのかを考えます。

表現移動の見方基本イメージ
去基準地点から離れるこちらから向こうへ行く
来基準地点へ近づく向こうからこちらへ来る
回元の場所・本来の場所へ戻る帰る、戻る

視点を決める3ステップ

移動する人より先に、会話の基準地点を決めます。

  1. 誰の場所を基準にするか — 話し手の現在地か、聞き手がいる目的地か。
  2. 基準から離れるか、近づくか — 離れるなら去、近づくなら来。
  3. 元の場所へ戻る動きか — 戻るなら回を使い、方向まで示す場合は回来/回去を選ぶ。

目的地の日本語名だけで決めず、この3点を順に確認します。

去と来は「誰から見た方向か」で決まる

去と来の違いは、目的地の種類ではなく、会話で置かれた基準地点との方向です。基本は話し手がいる場所を基準にします。話し手の家へ相手が向かうなら你来我家、話し手が相手の家へ向かうなら我去你家です。

ただし、電話や招待への返答では、聞き手がいる目的地を会話上の基準として引き継ぎ、好,我马上来(はい、すぐ行きます)のように来で答えることがあります。

実際の会話では、誰のいる場所を基準にするかが文脈で共有されます。迷ったら、まず話し手の現在地を基準にし、相手が目的地から来を使って問いかけている場合は、その視点を引き継いでいるかを確かめます。

去は基準地点から離れる

去(qù)は、基準地点から別の場所へ離れていく方向を表します。

去

qù

行く

我去车站。
Wǒ qù chē zhàn.
私は駅へ行きます。

我要去车站。

wǒ yào qù chēzhàn.

駅へ行きたいです。

話し手が駅にいない状態で、現在地から駅へ向かうなら去が自然です。学校、会社、空港など目的地が変わっても、基準地点から離れる方向という考え方は同じです。

来は基準地点へ近づく

来(lái)は、話し手や聞き手など、会話上の基準地点へ近づく方向を表します。

来

lái

来る

你明天来我家吗?
Nǐ míng tiān lái wǒ jiā ma?
明日、私の家に来ますか。

話し手の家が基準地点なので、相手がそこへ近づく移動を来で表しています。

相手から你来吗?と聞かれたとき、日本語では「行きます」と答えたくても、中国語では相手側の場所へ近づく視点を引き継いで我来と答えられます。日本語訳より会話の基準地点を優先します。

回は元の場所へ戻る

回(huí)は、単なる移動ではなく、元いた場所、本来いる場所、所属先などへ戻ることを表します。

回

huí

戻る

我晚上回家。
Wǒ wǎn shang huí jiā.
私は夜、家に帰ります。

我现在回家。

wǒ xiàn zài huí jiā.

私は今家に帰ります。

回家では通常、回と家の間に去を入れなくても「家へ帰る」と言えます。回公司なら会社へ戻る、回日本なら日本へ戻るというように、戻り先を後ろに置きます。

回来と回去で方向をさらに示す

回に来または去を組み合わせると、戻る移動の方向まで示せます。

回来

huí lái

戻ってくる

表現意味基準地点との関係
回来戻ってくる戻る先がこちら側
回去戻っていく戻る先がこちらから離れる側

たとえば、家にいる人が外出中の家族へ「何時に戻ってくるの」と聞くなら、家が話し手側なので你几点回来?です。

外出先にいる人が「もう家へ戻ります」と話すなら、現在の会話地点から家へ離れる方向なので我现在回去と言えます。

回が「戻る」、来/去が「こちらへ/向こうへ」という二段構造です。

同じ移動を視点だけ変えて比べる

AさんがBさんの家へ向かう同じ移動でも、視点によって表現が変わります。

A(自分の現在地から): 我现在去你家。
Wǒ xiàn zài qù nǐ jiā.
今、あなたの家へ行きます。

B(自宅でAに): 你几点来?
Nǐ jǐ diǎn lái?
何時に来ますか。

Aは現在地から離れるので去、Bは自分のいる場所へ近づく移動を見るので来です。移動そのものは同じでも、基準地点が違います。

位置関係を判定する4ケース

Case 1: 自分の家から相手の家へ向かう
  • 話し手: 自分の家にいる自分
  • 聞き手: 相手の家にいる相手
  • 目的地: 相手の家
  • 元の場所へ戻る: いいえ

現在地から離れるので去です。我现在去你家。と言えます。

Case 2: 相手が自宅から「うちに来る?」と聞き、自分が返事をする
  • 話し手: 相手の家へ向かう自分
  • 聞き手: 目的地にいる相手
  • 目的地: 相手の家
  • 元の場所へ戻る: いいえ

相手が置いた目的地の視点を引き継ぎ、好,我马上来。のように来で返せます。

Case 3: 外出先から自宅へ戻ることを、同行者に伝える
  • 話し手・聞き手: 外出先
  • 目的地: 自宅
  • 元の場所へ戻る: はい

戻り先は現在の会話地点から離れる側なので回去です。我先回去了。のように言います。

Case 4: 自宅にいる人が、外出中の家族へ戻る時刻を聞く
  • 話し手: 自宅
  • 聞き手: 外出先
  • 目的地: 自宅
  • 元の場所へ戻る: はい

戻り先が話し手側なので回来です。你几点回来?と聞けます。

場面別の表現は関連記事へ分ける

この記事では方向の判断に集中しています。実際の目的地で使う質問や返答は、次の記事で確認できます。

まとめ

  • 去は基準地点から離れる方向
  • 来は話し手や聞き手などの基準地点へ近づく方向
  • 回は元の場所や本来の場所へ戻ること
  • 回来は戻ってこちらへ近づき、回去は戻ってこちらから離れる
  • 日本語の「行く・来る」ではなく、会話の基準地点と移動方向で選ぶ